野球肩

野球肩とは、滑液包炎、棘上筋腱炎、上腕二頭筋腱炎、肩甲上神経麻痺による棘下筋萎縮、
インピンジメント(impingement)症候群、上腕骨骨端線障害(リトルリーグ肩)などの
投球動作によって引き起こされる、さまざまな肩関節障害の総称です。 最近は野球の
技術指導において、球速を増すために加速期からフォロースルー期に前腕の回内動作を
推奨していますが、肘関節が伸展した状態では肩関節の内旋が強調されやすくなります。
筋力の弱いジュニア期や壮年期の選手には、棘上筋腱などに過負荷が加わり障害の
原因となりますので注意してください。技術的に速い球を投げることと、解剖的な肩への
負担とは相反しているといえます。 野球肩はオーバーヘッドスローイング動作を行う
スポーツ全般で発症しますが、特に野球のピッチャー、キャッチャー、バレーボールの
アタッカー、テニスのサーブ・スマッシュ時、アメリカンフットボールのQB、水泳
(クロール、バタフライ)、ハンドボール、陸上競技のやり投などでも起こります。
除痛や消炎目的で低出力超音波、低周波、低出力レーザー、アイシング、ホットパックなどの物理療法や、消炎鎮痛薬による除痛を試みます。疼痛が軽減したらストレッチングによる
肩関節、肩甲胸郭関節(いわゆる肩甲骨)の可動域改善を行います。 また初期の段階では、
肩甲下筋、棘上筋、棘下筋などのインナーやアウターのマッスルトレーニングをアイソメトリックの状態で行い、その後は軽め(1kg)のダンベルやセラバンドを使用します。
コドマンの振り子運動(1kgのダンベル)も有用です。最後に投球動作のフォームチェックを行いましょう。 インピンジメント症候群では、肩峰下滑液包内にヒアルロン酸ナトリウムや、
ときにはステロイドの注入が有効です。その後、棘上筋や三角筋のストレッチングを
行いましょう。最近では関節唇損傷や腱板損傷時には、関節鏡視下でデブリードマン
(滅創や感染創などの壊死部分や異物を除去すること)や、肩峰が引っかかる場合は肩峰の
骨切除による除圧術を行う場合もあります。 投球肩障害(野球肩)におけるアスレティックリハビリテーショントレーニングは、関節可動域の低下、肩甲胸郭関節やローテーターカフの
機能障害の改善が目的です。 関節可動域の獲得は、肩関節周囲筋の柔軟性の確保を
目的としたストレッチングを、肩甲上腕関節(いわゆる肩関節)を中心に行います。
ストレッチングの前には、ホットパック後にアイシングを行うなどの物理療法(アイシング
のみのケースもある)を実施すると、ストレッチングがさらに効果的になります。

SAKIUTAでは整体・鍼灸診療で対応いたしております。

参照:スポーツの鉄人に聞け